【9】プロ意識と成果を生む考え方(2)

前回のブログでは、周りの人達の期待に応える姿勢や、仕事への向き合い方について考えてきました。
今回は、プロ意識をどのように育て、日々の行動につなげていくのかを、研修での工夫やエピソードとともに紹介していきます。自然と前向きになれる“気づき”のプロセスを、一緒にたどってみましょう。

研修で意識を「グッと」変えるストーリーテリング

「プロの定義」を単にお伝えしても、受講生には響きません。だからこそ、研修では工夫を凝らしています。

1. 憧れのプロは誰か、どんなところがプロなのか?
まず、「あなたが思うプロは誰ですか?どんなところがプロですか?」と聞きます。すると、大谷選手や、職場のプロジェクトリーダーなど、自分よりすごい人が出てきます。そしてその人たちのプロとしての姿勢やあり方などを話し合う中で、「よりレベルの高いプロ」のイメージが出来上がっていきます。

2. 最初の問いかけ「皆さんはプロですか?」
憧れのプロをイメージしてもらった後で、「皆さんはプロですか、アマチュアですか?」と問いかけます。すると多くの人が迷います。憧れの彼らと自分を比べたら、とてもプロだとは言い切れない、自分のことをプロと言ってしまってよいのだろうか?となるのです。こうした疑問を持つことがあとで定義を聞いたときに「なるほど」と腹落ちするようになります。

3. 定義の確認と2度目の問いかけ「プロとアマチュアの境界線とは?」
次に、プロとアマチュアの境界線はどこにあるのか?を考えてもらいます。そこで例としてプロ野球選手と実業団の野球選手との比較をします。そして改めてプロの定義(本業とし、ステークホルダーの期待ニーズに応えて対価を得ている人)を伝えます。

プロ野球選手も実業団の選手も、いずれも野球をしています。そしてお給料ももらっています。
両方とも野球をやり、給料ももらっている。しかし片方はプロと呼ばれ、もう片方はアマチュアといわれる。その違いは何なのでしょうか?

もうお分かりですね。プロ野球選手は野球をやることでお給料を得ている。それに対して実業団の選手は一会社員として会社の業務を行うことで給料を得、その他に野球をやっているということです。

つまりそのことを「本業としているか?」の違いです。

会社員の場合、会社そのものがプロ集団です。提供するものは違えども、ステークホルダーの期待ニーズに応えることで対価を得ているわけです。つまりそこ(企業)にはプロしかいない。皆さんは立派なプロなのです、ということを改めてお伝えをします。

そして、もう一度聞くんです。「皆さんはプロですか?アマチュアですか?」と。

ここでアマチュアに手を上げる人がいます。彼らは「お金はもらっているけれど、期待ニーズに十分答えきれていない」と感じている人たちです。

私は彼らに「あなたたちは真のプロですね」とお伝えします。期待ニーズへの意識が高いからこそ、プロだと自覚できない。この瞬間、彼らの心に「プロ意識」という概念が深く刻まれます。

新人研修ではさらに踏み込み、入社早々のタイミングで「皆さんはプロですか?アマチュアですか?」と問いかけます。するとほぼ100%「アマチュア」に手が上がります。

プロの定義を学んでもらった後、「なぜ今月末皆さんには給料が出るのか?」を考えてもらいます。「まだ会社に貢献はできていないけれども、これから一日も早くプロとして現場で活躍してほしい。だから今は一生懸命プロとして必要な知識や技術を学んできてほしい。」という会社からの大きな期待があるからお給料が払われるのですよね。であればこそ皆さんはプロとしてその期待に応える必要がある、とお伝えします。

一人ひとりがそのことを自覚してもらうことで、「今日からプロとして学んでいく」という姿勢をもってもらいます。

プロ意識の欠如は大きなコストになる

プロ意識が低いと、目先の浅いことしか見えなくなります。

私自身も、プロ意識が低いせいで痛い目に遭ったばかりです。ネットバンキングの認証更新を「まだ1ヶ月あるから」と後回しにし続けた結果、期限ギリギリになって認証エラーが発生。結局、銀行窓口で1時間半も待たされる事態になりました。

この「ちょっとの時間を惜しむと、すごい時間がかかる」という現象は、まさしく信頼に関する法則に当てはまります。

信頼度が高い → スピードが早い、コストが下がる
信頼度が低い → スピードが遅い、コストがかかる
出典:「スピード・オブ・トラスト」スティーブン・MR・コヴィー キングベアー出版

私のように「どうせ後でやればいいや」と先延ばしにする姿勢は、まさにプロ意識の欠如が引き起こす、目に見えないコストなのです。

最後に:See-Do-Getにおけるプロ意識の醸成

私がもっとも重視するのは、スティーブン・R・コヴィー博士がその書籍「7つの習慣」の中で提唱している「See-Do-Get(考え方、行動、結果)」のサイクルにおける、最も重要な「See(考え方)」の部分です。

どんな道具(スキル)をどう使うか(行動)を考える前に、まず「どういう思いでそれを提供するのか」という考え方(See)を定義しなければ、それに見合った行動(Do)、そして正しい成果(Get)は生まれません。

プロ意識とは、単なる仕事のスキルではなく、いかに広く他者の期待を想像し、それに応える姿勢を持つかという、あなたの生き方や考え方の土台そのものです。

後輩や部下を持つ皆さん、ぜひあなたの職場でも「プロとは?」という問いを投げかけてみてください。きっと、彼らの意識を変える大きなきっかけになるはずです。